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ヘイドン・ホワイトHayden Whiteについての覚書

 ヘイドン・ホワイト(1928 - )の名を、歴史研究に関心のある人ならアーサー・ダントーやカルロ・ギンズブルグと同じ程度には耳目にしたことがあるのではないか。かく云うぼくは、歴史研究や歴史哲学への興味からホワイトの名を知ったのではなく、「物語理論」というどことなくロマンチシズムの薫香漂う概念に惹かれてのことだ。

 そんなことはさておき、ヘイドン・ホワイトについての単なる覚書をもって拙記の巻頭を飾っておこうと思う由。

 ヘイドン・ホワイトの著作について、共編著を除く単著のみを列記しよう。

 

  1. Metahistory: the historical imagination in nineteenth-century Europe, Johns Hopkins University Press, 1973(メタヒストリー)
  2. Tropics of discourse: essays in cultural criticism, Johns Hopkins University Press, 1978(言説の修辞学)
  3. The content of the form: narrative discourse and historical representation, Johns Hopkins University Press, 1987(形式の内容)
  4. Figural realism: studies in the mimesis effect, Johns Hopkins University Press, 1999(文彩実在論
  5. The fiction of narrative: essays on history, Johns Hopkins University Press, 2010(物語の虚構)
  6. The Practical Past, Northwestern University Press, 2014(実用過去)
  7. 40th Anniversary Edition: Metahistory: The Historical Imagination in Nineteenth-Century Europe, Johns Hopkins University Press. 2014(40週年版)

 

 以上のいずれもまとまった邦訳というのは存在しない。かつて「〈リキエスタ〉の会」という岩波やら平凡社やら晶文社やらと大日本印刷が合同で立ち上げたオンデマンド出版の企画から『物語と歴史』という表題で二つの論文が邦訳されている他、『現代思想』『思想』誌上でいくつかの論文が邦訳されている。

 『物語と歴史』(平凡社、2002)については、ぼくは持っていないです……欲しいんだけど、品切れ……全然オンデマンドじゃないじゃん。ところで、インターネット上の書評記事を閲覧したところ、「歴史における物語性の価値」と「現実の出来事の物語化」の二題であることが判明した。原題は不明。元は『物語について』(W・J・T・ミッチェル=編著、平凡社、1987)に収録されていたものらしい。

 また、『思想』No.1036(2010年第8号)には「ヘイドン・ホワイト的問題と歴史学」と題して、「実用的な過去 The Practical Past」と「コンテクスト主義と歴史理解 Contexualism and Historical Understanding」の二本の論文が訳出されている。いずれもThe Practical Pastからの訳出。ただし、この雑誌をぼくは持っていないので飽くまで推測。

 その他については、立命館大学報告書を参看のこと。

 Metahistoryについては、かつて作品社から出版が予定されていたようだが、ついぞ出ていない[1]

 

 さて、上に並べたホワイトの著作に関しては、The content of the formを除く5冊(Metahistoryは40th版)を手にいれたがまだまだ全く読んでいない。なので紹介するに能わないので今回は覚書と附した次第だけど、そもそも英語苦手なのにやってられんわという感じで、まぁ、日本の在野にも熱心にやってるのが居るよという一つの標榜としてやろうかなと。極く私やかながら、そんな風で当記事を上梓しようと考えたわけです。

 ともあれ、雑感。歴史については宮沢賢治の『銀河鉄道の夜』に出てくる「歴史の歴史」を聯想する。まさにMetahistory。ちょっと違うけど。歴史と物語に関しては、ジョルジュ・ペレック『考える/分類する』、最近出たのだとパトリク・オウジェドニーク『エウロペアナ』。歴史小説とか歴史物語ならいくらでもあるが、歴史と小説のあわいを穿つものはなかなか無いだろう。ぼくとしては、文学の方から歴史学をみているのだけども、まぁその辺りについては追追。小難しい議論や頑冥極まる観念の展開なぞ嫌いだし苦手なので時間が掛かって仕様がない。

 それではまた。

 

 

参考:http://www.staff.amu.edu.pl/~ewa/Hayden_White_Bibliography.htm

   http://www.ritsumei-arsvi.org/publications/index/type/center_reports/number/13

   http://www.arsvi.com/o/nh.htm

 

 

[1] http://oshiete.goo.ne.jp/qa/3596499.html