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【翻訳】ミハル・アイヴァス「クウィントゥス・エレクトゥス」

クウィントゥスはその大きさを除けば独り一個の理由にのみ拠り非凡であるが、該る理由というのは将にそれ独特の擬態である。事実としては、この擬態と雖も原を云えば全くの新物では無いのであって、〈ベイト型擬態〉と呼称されて居り、〈自然〉に於いては何…

【翻訳】宇宙の不思議な相:ミハル・アイヴァスへのインタヴュー

W(Weirdfictionreview.com):アイヴァスさんの稚い頃に育った家では奇妙な味わいの作品は歓迎されていたでしょうか、どのような形でしたか? A(Michal Ajvaz):私の子供時代、1950年代でしたが、チェコスロヴァキアでは、書店で不思議な読物(或は非現実…

【翻訳】インタヴュー:ステファン・グラビンスキ訳者 ミロスラフ・リプニスキ

彼は「日常」の裡に非日常を明らかにする手掛りを捜していました。 W(Weirdfictionreview.com):どういったものを読んで育ったのでしょうか、また不思議なお噺というのは当時貴方の家で歓迎されていましたか? L(Miroslaw Lipinski):60年代のニューヨ…

パヴェル・レンチィン Pavel Renčín「The Dragon Star」『Dreams From Beyond』(ユリエ・ノヴァーコヴァ Julie Novakova編、2016年)所収

先日、阿部賢一先生のツイートから『Dreams From Beyond』という題でチェコのSF(と云っても科学小説ではなく、スペキュレイティヴ・フィクション)のアンソロジーの英訳版が公開されていると知って、さっそくぼくもpdfを入手し、取り敢えず頭から順に読ん…

ダリオ・トナーニ『明日は別の世界』(イタリアSF文庫:久保耕司=訳、イタリアSF友の会、2016年)

最近、稲垣足穂を読んでいたら、次のような文句に出くわして驚いた。 僕は、たとえば新しい靴墨か、おろしたての歯ブラシの感じがする文学を作ってみたい。それは又、タイトル・バックのような短篇であり、予告篇的編輯であり、カタログ式網羅でもある。[i] …

フェルナンド・イワサキ『ペルーの異端審問』(八重樫克彦・八重樫由貴子=訳、新評論、2016年)【不完全版】書目索引

版元頁:http://www.shinhyoron.co.jp/978-4-7948-1044-1.html 『ペルーの異端審問』は日系ペルー人の作家フェルナンド・イワサキの邦訳作品だが、正直に云うとぼくは巻頭言が筒井康隆だから手を出したのだけれども、読んで吃驚、理知に富んでいて尚且つ諷刺…

イタリア文藝叢書-1『ぶどう酒色の海 Il Mare Colore Del Vino イタリア中短編小説集』(吉本奈緒子・香川真澄=編訳、イタリア文藝叢書刊行委員会、2013年)

先日、ルネ・ウェレックとオースティン・ウォーレンの共著『文学の理論』(太田三郎=訳、筑摩書房、1954年)を読んでいたら、「蒐集→型録→編集」の順序が大事だと云うようなことが書いてあった。ぼくはこれを読んで成程と思った、これはぼくだけの課題かもし…

『ロシア幻想短編集』(西周成=編訳、アルトアーツ、2016年)

大手出版社(と云ったって規模から云えばすべて中小企業だが)から出る斗りが、名の知られた書評記事に踊る許りが、本では無いのだ、こう惟うにつけて、辺境文学のちから勁さ、人間の隠れた本性へと向かう分節原理の微視の眼の翻りが有難く感じられる、案外…

阪倉篤義『[増補]日本語の起源』(平凡社ライブラリー、2011年)を読んで

故常無欲以觀其妙、常有欲以其徼 ここに掲げたのは『老子』の巻頭第一章の言葉、この語を引いて彼の碩学井筒俊彦は次のように言う、つまり「「常無欲」とは深層意識の本源的なあり方。常に無欲、すなわち絶対に執著するところのない、つまり名を通して対象と…

ヘイドン・ホワイトHayden Whiteについての覚書

ヘイドン・ホワイト(1928 - )の名を、歴史研究に関心のある人ならアーサー・ダントーやカルロ・ギンズブルグと同じ程度には耳目にしたことがあるのではないか。かく云うぼくは、歴史研究や歴史哲学への興味からホワイトの名を知ったのではなく、「物語理論」…